きゅーきちゃんの社労士勉強ブログ

社会保険労務士の勉強に役立つ内容を出していきます!

労働基準法17条他 前借金相殺の禁止・強制貯金

こんにちは。きゅーきちゃんです。

 

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回は前借金相殺の禁止に関する条文を確認していきたいと思います。

 

序論 

本規定は金銭貸借関係と労働関係を分離することにあります。

それは、16条と同様に身分拘束を避けることが目的になっています。

 

前借金相殺の禁止(17条)

まずは、条文で確認しましょう。

「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。」

 

【重要】

 

形式的に相殺の意思が労働者からあるようなものであっても、実質的に使用者から強制されている場合は、本規定に違反することになります。(判例あり)

⇒同意書があったとしてもNGです。

 

【解説】

前借金とは、労働することを条件に使用者から借り入れ、将来の資金により弁済することを約束する金銭のことをいいます。

 

また、身分拘束を防ぐことを目的としているため、単なる借入金を禁止しているわけではありません。

つまり、使用者からの一方的な借り入れ契約を禁止しているだけです。

 

強制貯金

同様に、労働契約に付随して、貯金をする契約をしてはいけません。

 

まとめ

契約をするときに、借入金を使用者から強制されるものはNGです。

 

判例対策】

 

形式的に同意があってもNG

同意書があってもNGな場合あり(実質的・客観的に見てどうか)

労働基準法16条 賠償予定の禁止

こんにちは。きゅーきちゃんです。

 

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回からは賠償予定の禁止に関する条文を確認していきたいと思います。

 

序論 

本規定も基本的には、身分拘束を嫌う規定です。。

 

賠償予定の禁止(16条)

まずは、条文で確認しましょう。

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」

 

【重要】

賠償予定を禁止するだけで、現実に起きた損害について賠償を請求することは、禁止していないため、差し支えない。

 

賠償予定を契約した時点で本規定違反となります。賠償請求をしたときではありません。

 

退職金が功労報償的な性格を持っているため、就業規則に反して、退職金が減額されても、場合によっては違反にすることではありません。(判例あり)

 

【解説】

違約金とは、あらかじめ定められた金銭のことです。それは、債務不履行に対して債務者が債権者に対して支払う予め定められたものです。 

 

損害賠償額の予定とは、金額や経済的な実害の有無に関わらず、一定の金額を定めることいいます。

 

契約をしてはならないと規定されているため、実際に賠償があったかどうかに関わらず規定があるだけでNGです。また、労働契約に限定されず、身元保証が違約金等を負担する契約や、労働者の負担する負担金を保障する契約等も禁止されています。 

 

まとめ

違約金を定めた時点でNG

 

現実に起きた損害については、賠償請求してもNG

労働基準法15条 労働条件の明示

こんにちは。きゅーきちゃんです。

 

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回からは労働条件の明示に関する条文を確認していきたいと思います。

ここは、就業規則との比較が重要です!また最後に図解するので、ご活用ください!

 

序論 

本規定は、雇い入れ時に、労働条件を明示することによって、使用者と労働者のトラブルを未然に防ぐ狙いがあります。また、条件の明示を行うことで、不当な身分拘束を防ぐことにつながるので、義務規定となっています。

 

労働条件の明示(15条)

まずは、条文で確認しましょう。

「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる

○3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。」

 

【重要】

労働条件の絶対的明示事項は、書面により明示する。

ただし、昇給に関する事項は除かれています。したがって、口頭でもOKです。

 

就業規則労働契約の際に交付することをもって、労働条件を明示してもOKです。

また、就業規則が有効にするためには、周知義務があります。(ここで覚えてしまいましょう!)

 

派遣労働者については、労働条件の明示は派遣元の使用者が責任を負います。労働時間、休憩、休日等も含みます

 

労働条件(絶対的・相対的明示事項の両方のことです。)は、未来に向かってのみ有効とされます!したがって、契約を解除しても解除よりも過去の分については、解除されません。

 

【解説】

まず、使用者に対しては義務を定め、労働者については権利を定めています。

「使用者~しなければならない」「労働者~できる」という言葉のかかり方に注意してください。

 

明示するタイミングは、労働契約の締結をするときです。

契約の更新のときは、その更新を行うときです。

 

明示条件には、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。(詳しくは、下記の図を参照してください。)

 

絶対的明示事項は、ないときは「ない」と明示する必要のあるものです。一方、相対的明示事項は、規定のないときは明示する必要はありません。

例えば、休憩を取る必要のない時間の労働者に対して、休憩時間がないときは、「休憩時間がない」と説明をします。ただ、ボーナスが支給されない事業所では、ボーナスの支給に関する説明自体がありません。

・・・良い悪いは置いておいて、こんなイメージでOKです。

 

労働条件の即時解除については、福利厚生施設等は解除権を行使する対象となりません。しかし、それが、福利厚生の名目であっても賃金等に当てはまるときは、対象となります。

 

余談ですが、就業規則にも記載の条件があります。

また、職業安定法でも募集に関する条件の明示規定があります。

 

絶対明示事項のまとめ(労働条件と就業規則の比較)

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労働条件の明示と就業規則の絶対的事項の比較

 

まとめ

 

試験対策上は、絶対的明示条件を覚える!(それ以外は相対的という対応でOKです。)

 

未来に向かって契約解除が有効です。

 

転居して就業した場合は、14日以内に帰郷するときは使用者は旅費負担が必要です。

労働基準法14条 契約期間等

こんにちは。きゅーきちゃんです。

 

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回からは労働基準法の労働契約に関する条文を確認していきたいと思います。

 

序論 

労働基準法では、身分の拘束を嫌がる性質があります。本規定はそれを形にしているものと言えます。また、大臣が基準を定め、行政官庁が助言や指導を行うという形を明確にしています。

 

労働契約(14条)

まずは、条文で確認しましょう。

「労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない

一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

○2 厚生労働大臣、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる

○3 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。」

 

【重要】

定年制は長期契約ではありません。その理由は、定年までの間は期間の定めがない契約で、労働者がいつでも契約を解除できるためです。

 

3年を超える契約は自動的に3年の契約を定めたものとなります。

 

60歳以上の労働者と高度の専門的知識等を有する労働者については、5年を上限とする契約ができます。

 

有期事業職業訓練の場合も3年を超えることができます。

 

【解説】

労働基準法では身分拘束を嫌がります。

また、契約で期間を定めるとその契約期間の間は、その契約期間は役務の提供を行うことが原則となります。そのため、一定の期間を超える契約は無効となります。

ただし、労働者から使用者に申し出により、1年を経過した日以後については、いつでも退職することができることとされています。

ただし、一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約、高度の専門的知識等を有する労働者、60歳以上の労働者については対象外とされています。

 

高度な専門知識等を有する者とは、公認会計士弁護士社労士、税理士などの職業の方のパターンとシステムエンジニアで年収が1075万円以上の者のパターンがあります。

社労士が1075万円ないから専門的知識ではないという問題はNGです。

 

60歳以上の労働者は、契約時点で60歳である必要があります。 

 

雇止めについては、労働者の勤務形態について、3回以上契約更新又は継続勤務1年超えのパターンと契約更新1回かつ継続勤務1年超えのパターンがあります。

前者は、雇止めの予告雇止めの理由の交付のときです。

後者は、契約期間についてできる限り長くするよう努めなければならないときです。

※とにかく3回又は1年超え、1回かつ1年超えを覚えましょう。

  

まとめ

契約期間は原則3年、5年パターンあり。

 

3回以上又は1年超えと1回以上かつ1年以上のパターンで雇止めの予告と雇止めの理由の交付は義務、契約期間への配慮は努力。

 

60歳の労働者は、契約時点で60歳を迎えている必要あり。

労働基準法13条 労働基準法違反の契約

こんにちは。きゅーきちゃんです。

 

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回からは労働基準法の労働契約に関する条文を確認していきたいと思います。

 

序論 

 

労働基準法の基準に達しない契約については、部分無効とし、自動的に労働基準法の基準で維持することを目的としています。

 

労働契約(13条)

まずは、条文で確認しましょう。

「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。」

 

【重要】

労働基準法又は就業規則に達しない労働契約の部分は、その部分について無効。

労働協約の条件等に違反する就業規則又は労働契約については、その部分について無効。

 

【解説】

労働基準法に達しない契約は、その部分については無効になりますが、自動的に無効にしている機能のことを強行的効力といいます。

 

同時に、無効となった部分については自動的に労働基準法の基準に修正します。このことを直立的効力といいます。

 

判例問題とからめてこの言葉が抜かれると思いますので、どういう意味か理解しておきましょう。

 

個人的には、何度も勉強することで選択式対策ができると考えていますので、あまり意識することはなにのですが、ここでは、「達しない」のか「違反するのか」を押さえる必要があります。

労働一般常識でも問われるので、下の図で押さえてしまいましょう!

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労働関係の法的効力関係

 

まとめ

労働基準法に達しない労働契約は、その部分が無効となり(強行的効力)、自動的に労働基準法の基準になります(直立的効力)。

労働基準法12条 賃金(平均賃金)

こんにちは。きゅーきちゃんです。

 

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回は労働基準法の総則を確認していきたいと思います。

平均賃金も限定列挙がありますので、覚えていれば一撃で正答が出ます!

 

序論 

賃金と明確に異なるのは、平均賃金は使用するシーンが限定されているということです。

また、生活保障のための計算であるということを覚えておくと、起算日についてど忘れしたときに役立ちます!

 

平均賃金(12条)

まずは、条文で確認しましょう。

「この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。

一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十

二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

 

○2 前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。

○3 前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。

一 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間

二 産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間

三 使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間

四 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業(同法第六十一条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)に規定する介護をするための休業を含む。第三十九条第十項において同じ。)をした期間

五 試みの使用期間

○4 第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。

○5 賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第一項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

○6 雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。

○7 日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。

○8 第一項乃至第六項によつて算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。」

 

【重要】

 

賃金算定事由の生じた前日から3か月を遡って計算します。

 

 賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から3か月遡って算定します。

 

月給と時間外手当で締切日が異なる場合は、それぞれの締切日から起算します。

つまり、一緒の起算日ではありません!

 

平均賃金の計算から、業務上負傷等した期間、産前産後休業の期間、使用者の責めに帰すべき休業期間、育児介護休業法による休業した期間、試みの使用期間は計算の対象としません。

注意したいのは、以下の3つです。

特に、介護休暇は試験の特性上、ゆっくり読めないので、勘違いをしやすい箇所です。

子の看護休暇介護休暇は算入します。

通勤災害の場合は算入します。

試みの期間中に、算定事由が発生したときは、その期間中の賃金と期間を算定に入れます。

 

【解説】

 

平均賃金の算定方法については、

平均賃金=事由発生日以前3か月の賃金総額/総日数

これを原則として、例外的に比較するパターンがあるということを理解するだけで十分対応できます。

 

むしろ、平均賃金の算定するときに1種類しか書かれていないときは、不正解にするくらいの割り切りでもOKだと思います。(ちなみに、平均賃金を複数の方法で比較する理由は、最低保証の意味があります。)

その後、算定日等他の重要箇所押さえてから、最後に取り組むだけでもOKでしょう!

 

現実に支払われた賃金だけでなく、賃金として支払われることが確定しているものも参入します。

 

平均賃金計算後、1円未満の端数があったら、切り捨てます。

端数処理は、基本四捨五入が多いので、切り捨てパターンは覚えておきましょう!

 

平均賃金の限定列挙

ここは別で設けました。完璧に覚えましょう!

まずは、割増賃金の算定には使用しません!

問題を解く時間がなく、割増賃金が最後に書かれていることが多いので、意外とこれを先にチェックすることが重要だと思います。

 

算定対象事由 起算日
解雇予告手当 解雇通告をした日
休業手当 休業日(2日以上休業するときは、その最初の日)
年次有給休暇の賃金 年次有給休暇を与えた日
災害補償 発生の日又は診断によって疾病の確定した日
減給の制裁の制限額 制裁の意思が相手に到達した日

災害補償が2つ起算日の候補があることも押さえましょう!

 

減給の制裁は意思が相手に到達した日である一方、解雇の場合は解雇を通告した日であることを押さえましょう! 減給のときに「通告」が出たらアウトです。

ちなみに、解雇通告日は解雇日を変更したとき、初めに決まってた日を算定対象日とします。

 

まとめ

 

平均賃金は、使用される場面が5つあり、割増賃金では使用しないことを確認しましょう!

 

表を覚えましょう!

 

平均賃金に算入されない賃金と期間が5つあることを押さえましょう!

 

計算方法が複数あって、その理由が最低保証のためであることを押さえましょう!

労働基準法11条 賃金(総則)

こんにちは。きゅーきちゃんです。

 

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回は労働基準法の総則を確認していきたいと思います。

 

序論 

 

賃金については、労働基準法ではきちんと定義されています。

賃金と平均賃金はよく似て聞こえますが、全然異なるものです。 

 

試験対策上どちらも重要な話題ですが、平均賃金のほうが大切です。

 

賃金(11条)

まずは、条文で確認しましょう。

「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」

 

【重要】

休業補償は60/100を超える部分についても、賃金とはなりません。

 

通勤手当は賃金で、通勤定期券を事前に購入して労働者に渡す場合も賃金となります。

 

所得税(健康保険料、厚生年金保険料等の各種社会保険料を含みます)を使用者が負担したときは賃金となりますが、

生命保険料等を使用者が負担する部分については、賃金とはなりません。

 

チップは、原則として賃金とはなりません。

受け取ったチップを使用者を経由し、労働者に均等配分する等の対応をしたときは、賃金となります

 

【解説】

労働の対償として使用者が労働者に支払うものは、原則として賃金となります。

現実には、実態に応じて賃金かどうかを判断する。

 

賃金にならないものは、キーワードは「任意・恩恵的」「福利厚生的」「実費弁償的」です。それぞれに解説は以下のとおりです。

任意的→(例)病気見舞い金などです。ただし、就業規則によってあらかじめ支給条件が明確になっているものは賃金になります。賃金になる可能性があるのは、労働基準法だけです。

福利厚生的→(例)住宅貸与などです。ただし、住宅貸与を受けない者に対して一定の金額が支給される場合や、形態によらない場合は賃金となります。

実費弁償的→そのままです。出張旅費を覚えておいてください。

 

まとめ

 

労働の対償として支払われるもの全てが賃金です。

 

賃金に含まれるときと、含まれないときの具体例を押さえてしまいましょう!