労働基準法32の2条 労働時間(1ヶ月単位の変形労働時間制)
こんにちは。きゅーきちゃんです。
今日も労働基準法について記事にしたいと思います。
今回は1ヶ月単位の変形労働時間制に関する条文を確認していきたいと思います。
特に1ヶ月単位の変形労働時間制については、1年単位の変形労働時間制の次に多い変形労働時間制です。(1ヶ月単位の割合は約15%)
序論
本規定は、1ヶ月単位で繁閑の差が大きい業種で採用されています。
夜勤勤務の多い医療業界や介護業界で採用が多い制度です。
労働時間(32条の2)
まずは、条文で確認しましょう。
「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
○2 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。」
(※太字のところは選択式試験に出題されることを想定しています。)
【重要】
1ヶ月単位の変形労働時間制は、労使協定や就業規則、それに準じるもので定めることができる。
労使協定は有効期間を定める必要があります。
使用者が任意に労働時間を変更する制度は変形労働時間制とは言えません。
このような取り決めをしていたとしても、無効です。
届け出違反は30万以下の罰金があります。
本規定を定めたときは、時間外の考え方は以下のとおりです。
- 1日の時間外は定めをしたときはその時間、そうでないとき(平常時)は、8時間です。(1週間の時間外も同様の考え方です。ただし、40時間を超えたとき・・・となります。)
- 変形期間について、変形期間の総枠を超えたとき
1ヶ月単位の変形労働時間制を採用するときは、1週間の労働時間は40時間でも特例の44時間でもOKです。
派遣労働者の場合は、派遣元に定めを行う義務があります。
【解説】
時間制の定めをするとき、労使協定等については労働者に周知する必要があります。
これは、就業規則でもあるので覚えておいたほうが良いです。「周知義務を果たしていない就業規則は無効。」(判例あり)
ちなみに、「準じるもの」という規定は、就業規則には10未満の事業所には作成義務がないため定めがあります。(後でやるので、覚えておいてください。)
勤務ダイヤに(シフト表みたいなものです。)よる変形時間制を採用する場合は、変形期間の開始までに具体的に勤務割を特定することでOKです。
ただし、就業規則に勤務の組み合わせの考え方、作成手続きと周知方法等を予め定める必要があります。
※もし、細かい規定だと感じた方は、全ての日程を決める必要はなく、手続き等を定めてもOKと覚えておきましょう。
労使協定等の定めに規定しなければならない事項は以下のとおりです。
- 変形期間及びその起算日
- 変形期間における各日及び各週の労働時間
変形時間の総枠=1週間の法廷労働時間×変形期間の日数/7
まとめ
1ヶ月単位の変形労働時間制は、労使協定・就業規則等で定めを行う必要があります。
特定された期間のことを変形期間といいます。
事前に変形期間を定めますが、任意に使用者が変更することはできません。労働者の同意があっても不可能です。