きゅーきちゃんの社労士勉強ブログ

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労働基準法32の2条 労働時間(フレックスタイム制の変形労働時間制)

こんにちは。きゅーきちゃんです。

今日も労働基準法について記事にしたいと思います。

 

今回はフレックスタイム制に関する条文を確認していきたいと思います。

フレックスタイム制を導入している事業所の種類としては、情報通信業で最も採用割合が多くいものの、全体として見れば、5%前後しか採用されていません。

 

条文も長く、改正もあり重要論点ですので、超大作になっています。

よろしければ、最後までお付き合いください。

 

序論 

 

フレックスタイム制とは、労働者が自ら始業と終業時間を決めることができる制度のことです。

本来の狙いとしては、労働時間を短縮するために弾力的な労働時間の設定をできるようにするものです。(しかし、現実は・・・)

 

労働時間(32条の3)

まずは、条文で確認しましょう。

「使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。

一 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、三箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)

三 清算期間における総労働時間

四 その他厚生労働省令で定める事項

○2 清算期間が一箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは「労働時間を超えずかつ、当該清算期間をその開始の日以後一箇月ごとに区分した各期間(最後に一箇月未満の期間を生じたときは、当該期間。以下この項において同じ。)ごとに当該各期間を平均し一週間当たりの労働時間が五十時間を超えない」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。

○3 一週間の所定労働日数が五日の労働者について第一項の規定により労働させる場合における同項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)中「第三十二条第一項の労働時間」とあるのは「第三十二条第一項の労働時間(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を同条第二項の労働時間に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数を七で除して得た数をもつてその時間を除して得た時間)」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。

○4 前条第二項の規定は、第一項各号に掲げる事項を定めた協定について準用する。ただし、清算期間が一箇月以内のものであるときは、この限りでない。」

(※太字のところは選択式試験に出題されることを想定しています。)

 

 

【重要】

就業規則やこれに準ずるもので規定をする必要があります。

※労使協定は含まれていません

 

定めをしたら、労使協定を締結します。(原則は、届け出不要)

内容は、

  1. 適用労働者の範囲
  2. 清算期間の起算日(3か月以内に限る)
  3. 総労働時間
  4. 1日の標準労働時間
  5. コアタイム・フレキシブルタイムを設定したときはその時間(任意規定です。)

コアタイムとは、労働者が必ず出勤する必要のある時間です。

※フレキシブルタイムとは、労働者が可能となる労働時間のことです。

 

 

この制度は、「育児を行う者への配慮義務」は対象となっていません

(本来的には、労働者が自ら労働時間を決められるため、自ら調整できるからです。)

 

清算期間ごとの労働時間について、不足分を翌月以降等に繰り越す(上乗せ)ことは可能です。

超過分を翌月以降に充当することはNGです。

 

時間外勤務の計算は、清算期間ごとに計算し、超過分を与えることになります。

 

派遣労働者については、派遣元に定め義務や労使協定義務があります。

 

【解説】

まず、条文が長いですよね。笑

近年改正されたこともあって、条文が増えたり長くなっただけなんです!

 

まず、大枠としては労働者が自分で始業と終業の時刻を決めることができる!というのが本規定の原則です。

なお、コアタイムが長すぎたり、フレキシブルタイムが短すぎる場合はフレックスタイム制とは言えず、労基署の指導対象となります。(判例あり)

 

あとは、細かな決まりがちょこちょこあるだけです。

近年改正がありましたので、紹介します。(そして、重要です。)

 

ここからは1週間に5日働く労働者についての規定です。【2019年向け改正】

週休2日制を採用している企業の場合、フレックスタイム制を導入すると不都合なことが起こっていました。

簡単に言うと、5週間目に突入する月の場合、原則どおり計算すると違法行為になってしまうということです。

今までは、行政解釈によってOKとしていましたが、今般それを明記したということです。

 

たとえば、2019年8月の場合を考えましょう。

(業種は、IT業界にしましょう!商業とかにすると44時間が登場してややこしくなるので・・・)

暦日31日、祝日で1日がありますので、カレンダーどおりの労働日である場合、労働日が22日となります。

 

この場合、原則どおり総枠を計算すると(1日の労働時間を8時間とします)、

清算期間における法定労働時間の上限=1週間の法定労働時間数×清算期間の日数/7日

上限=40h×31/7=194.8571・・・≒194時間

1週あたりの上限時間=194/4=48.5h

となり、法定労働時間を超えてしまいます。

 

そこで、改正がありました。

どうなったかというと

清算期間における1週間の法定労働時間の上限=所定労働日数×8時間÷(清算期間の日数/7日)

を超えない範囲でOKとなりました。

 

これで計算すると、

上限=22日×8時間÷(清算期間の日数/7日)=39.7419・・・となり、収まるようになったのです!ワーイ

 

清算期間が1ヶ月を超える場合【2019年向け改正】

また話が変わります。

清算期間は3か月を超えない範囲で規定するとありましたが、実は、1ヶ月にも見えない規定があります。

 

それが、届け出義務の発生する境界線です!

1ヶ月を超える清算期間の場合、届け出義務が発生します。

 

また、清算期間を1ヶ月ごとに区分したときに、週平均で各月とも50時間を超えてはいけません。これだけです!簡単ですね!

 


まとめ

 

フレックスタイム制は原則から押さえましょう!

労働時間を自ら決める規定をする!

規定は、就業規則等のみ!

 

その後、労使協定を行う!

 

清算期間は1ヶ月と3か月以内に境界線あり!

 

あとは、改正の部分を押さえましょう!これで1点取れます!